本ブログは私たち家族の佐賀移住を計画段階から公開し、その苦楽や顛末などをお伝えしていこうという取り組みである。

会社辞めて佐賀移住するので『退職の挨拶メール』を考えてみた

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私は東京生まれ東京育ち。約40歳。
ソフトウェアメーカーのシステムエンジニアである。
しかし思うところがあり、来る2019年4月、約10年ほど勤めた現職の会社を辞め、陶磁器などで有名な佐賀県有田町へ移住をすることとなった。

 

いわゆる『会社辞めて地方移住をする』というやつである。

 

本ブログの当記事執筆時点で佐賀移住まで残り1週間!そしてなんと明日は会社の最終出社日である!!

 

思い返せば退職までは苦難の連続であった。退職の意思を上司に伝えるのには物凄く緊張したし、会社からの退職延期交渉には3回も応じたため意思表明から退職までは1年もかかってしまった。そして先日は退職の最終手続きにおいて誓約書を書く書かないで会社と大揉めしたりもした。(※こちらについては、いずれ執筆したい。) 

しかし、いよいよ明日が最終出社日。 最後は気持ちよく立ち去りたいものである。
そして、最終出社日と言えば忘れてはならない大切な仕事がある。

 

それは『退職の挨拶メール』である。

 

退職の挨拶メールは退職の事実とこれまでの感謝の気持ちを全社員に伝える為のメールである。送信先が全社員宛なだけに、もう明日からは来ないとは言え、送るのにはちょっとした緊張感もあるだろう。そのためかメール文面は当たり障りのない単調で退屈なものになりがちだ。しかしマナーももちろん大切だが、あまりに単調なものも如何なものだろう?多少は個性やオリジナリティを加えても構わないのではないだろうか?
そこで、今回は自身の退職メールを考えるにあたっていくつかメール文面のパターンを考えてみた。

地方移住をする際、私のように現職の退職を伴う方も多いだろう。そんな方の今後の参考にでもなれば幸いである。

  

パターン1:普通

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 To:all@bokusumi.co.jp

From:僕住 佐賀太郎(sagatarou@bokusumi.co.jp)

件名:退職のご挨拶

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皆様

 

お疲れ様です。

僕住です。

 

この度、一身上の都合により「ぼくすみ株式会社 」を退職する事となりました。 

直接ご挨拶出来なかった皆様には、失礼ながらメールでのご挨拶とさせていただきます。

 

ぼくすみ社の一員として約10年間、様々な経験をさせて頂きました。

ひとえに皆様のご支援があったからこそと深謝しております。

この経験を無駄にしないよう今後も精進して参りたいと思います。

 

これまでお世話になり、本当にありがとうございました。

末筆ながら、皆様のご健勝、ご活躍を心よりお祈り申し上げます。

 

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ぼくすみ株式会社 

地方移住部 佐賀移住課

僕住 佐賀太郎

Mail:sagatarou@bokusumi.co.jp

TEL:000-123-456

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普通!!至って普通!圧倒的に普通である!

変更すべきポイントは名前と勤続年数のみ。

マナーとしてはOKなのだが、テンプレート感、コピペ感が否めない文章だ。これでは、心のこもっていない印象を受けてしまう。もう少しオリジナリティが欲しいところだ。

 

 

パターン2:ラップ風

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 To:all@bokusumi.co.jp

From:僕住 佐賀太郎(sagatarou@bokusumi.co.jp)

件名:退職のご挨拶!

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Yeah!

皆様

お疲れ様

オレ 僕住様

 

本日 実はオレ退職

信実 実はオレだいぶショック

 

一身上の都合で辞めるこのカンパニー

メールだけど届け この想いハンパねえ

 

長いよで短かったこの10年間!

いつの間にかオレももう中年か!?

 

ここで出来た様々な経験!

1人では出来なかった 感謝永遠!

 

伝えたい想いサンキューそしてラブ&ピース

 

祈る 貴社益々の繁栄

望む 世界平和 人々の安寧

 

末筆ながらこれで挨拶エンド

オレ忘れないゼ みんないつまでもフレンド

 

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ぼくすみ株式会社 

地方移住部 佐賀移住課

僕住 佐賀太郎

Mail:sagatarou@bokusumi.co.jp

TEL:000-123-456

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韻を踏もうとすれば意味をなさず。意味を伝えようとすれば韻を踏めず。これでもかなり頭を使って書いたリリックである。個人的には「10年間」と「中年か!?」の部分がとても良く出来たと自負している。しかし、退職の挨拶メールとしては如何なものだろうか?圧倒的オリジナリティと個性は感じるもののラップであること自体に全く必然性を感じない。

 

 

パターン3:引退ライブ風 

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 To:all@bokusumi.co.jp

From:僕住 佐賀太郎(sagatarou@bokusumi.co.jp)

件名:退職のご挨拶 2019 平成ファイナルライブ

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・・・

今日は、皆さんに大事なお話があります!

・・・

私、…私、僕住は「ぼくすみ株式会社」を辞めます!

今日が、本日が最終出社日となります!

・・・

 

この、10年間・・・

 

(頑張れー!)

 

・・・

ありがとう。

・・・

 

この、10年間・・・

 

みんなと一緒に走り続けたこの10年間は、私にとって最高の宝ものです!

たくさんのことを学び、たくさんの最高の思い出が出来ました!

 

貴社ますますの繁栄を、心から願っています!

本当に、・・・本当にありがとうございました!

 

メールでの挨拶となったみんな!

ありがとうー!!

 

本社のみんなーーー!!

事業所のみんなーーー!!

アリーナーーー!!

 

ありがとう!!

ありがとうーーーー!!


みんなありがとーーー!

愛してるよーーーー!!

 

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ぼくすみ株式会社 

地方移住部 佐賀移住課

僕住 佐賀太郎

Mail:sagatarou@bokusumi.co.jp

TEL:000-123-456

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溢れる感情はむしろ少ない語彙の中に宿るのかもしれない。実に感情豊かで心のこもったメールとなっている。しかし自分だけが感極まっていてる感が否めず、受け手との感情の間に凄まじい温度差がありそうだ。受け手となる他の皆様は今日も通常業務であることを忘れてはいけないだろう。

 

 

パターン4:小説風 

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 To:all@bokusumi.co.jp

From:僕住 佐賀太郎(sagatarou@bokusumi.co.jp)

件名:あの時僕は正社員でいられなかった

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今朝、いつも通り7時過ぎに目が覚めた。

いつもの天井。いつもの朝。これといった感慨はない。

トースト。クリームチーズ。コーヒー。牛乳で溶かすタイプの冷たいコーンスープ。昨晩の残りものの人参とコーンを和えたサラダ。妻が準備してくれた朝食はいつもより少し豪勢な気もする。8時14分いつもの電車に乗る。いつものファミリーマートで100円のひきたてコーヒーを買う。いつものアルバイトの女の子は、いつもの弾けるような笑顔で挨拶をしてくれた。彼女はきっと演劇をやっているのだろうと僕は昔から思っている。タイムカードを打刻したのが8時45分。これもいつも通りだ。

 

僕は、今日会社を辞める。

今日が僕の最終出社日だ。

 

僕がこの会社を辞めるのは一身上の都合の為だ。

僕は家族とともに妻の実家のある佐賀県有田町へと移住するのだ。そう決断した理由については論理的な説明は出来ないのだけれど、一言でいうなら、この会社で働き続けるという未来に、面白みや夢みたいなものを感じられなくなってしまったということになるのかもしれない。僕は金輪際サラリーマンというものにはならないだろう。佐賀への移住という西への移動は、ひょっとすると僕の思想までも少し左よりに変えてしまったらしかった。

アルバイト時代から数えると10年間も僕はこの会社にいたことになる。それは、当たり前のことだけれど、僕が入社した時に生まれた女の子が思春期の少女になっていて、ひょっとするともうファーストキスをしているかもしれないということだ。その会ったこともない少女の早すぎる成長のことを想像して、僕はちょっとしたうす気味の悪さを感じない訳にはいられなかった。僕といえばこの10年間、少しばかり社交性が増して、要領がよくなって、そしてきっちりと10年分年をとっただけだった。この会社は割とお堅い感じのソフトウェアメーカーで、僕はそのソフトウェアの技術員だったから、確かにこの10年で僕はこの会社のソフトについてはかなり詳しくなった。けれども、会社を辞めてしまえばもちろんそのソフトに関する知識や技術を使う機会は2度と来ないことは明白だ。僕はつぶしのきかないソフトメーカーのシステムエンジニアだったことに今更ながら気づかされたのだった。

会社に不満は一切ない。社風、人間関係、業務内容、いずれについても僕はそれなりに気に入っていたし、きっと向いていた。そしてもし、ずっとこの会社にいて、定年まで勤め続けるという未来も(最高に素晴らしいものではないまでも)きっとそこまで悪いものではなかっただろうとも思っている。(これは本当だ)

そして今、会社が人手不足でこの時期にそこそこベテラン技術員の僕が辞めると少し困ってしまうということも、僕は知っていた。それでもなお佐賀移住するという僕の想いが変わることはなかった。いや、、むしろその思いは日に日に強くなり、もう僕にもどうにも制御出来なくなっていたのだ。そんな思想も方針もない、僕自身論理的な説明が出来ない。(論理的に説明できるならば人の人生は簡単だし、悩みもないはずだ。)理由で会社を辞めるにもかかわらず、その気持ちが一切揺らがないという自分の意思の強さに一番戸惑ったのは、むしろ僕の方かもしれなかった。

僕が体験したこの気持ち皆に分かるように言葉にすることはとても難しい作業であることを分かって欲しい。

貴社が今後益々繁栄する事を望んでいる。(この気持ちに嘘はない。)

 

またいつかどこかで皆に会うことがあるかもしれない。

次の10年で僕はいったいどんなおじさんになっているだろうか?

そして僕は、僕が入社した時に生まれたあの少女のことをまた想像する。その少女が大人の女性になって誰かとセックスをしているところを想像する。

何故かは分からないが、そこに気味の悪さは感じなかった。

 

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ぼくすみ株式会社 

地方移住部 佐賀移住課

僕住 佐賀太郎

Mail:sagatarou@bokusumi.co.jp

TEL:000-123-456

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詳細な心の描写は、本人の退職の理由がストレートに記載され一番わかりやすいかもしれない。一人称で綴られながらも、唐突にセックスなどの性的なワードが恥ずかしげもなく、さも当たり前の事のように持ち出されてしまうところも、どこかオシャレで文化的な印象さえ抱いてしまう。小説に対する私の偏ったイメージが露呈する結果となってしまった。しかし再三の指摘であるが、これは退職の挨拶メールである。他の皆さんは当日も通常業務を行っていることを忘れてはいけない。仮にそれが作品上の必然であったとしても、業務中に性的なワードの含まれる文面を送るのは相応しくないだろう。メール受信システムの設定によっては即刻迷惑メールフォルダ行きとなり、誰にも読まれない可能性すらある。

 

  

以上が、今回考えてみた退職の挨拶メールである。

ご参考になっただろうか?

大事なのは、会社や会社の皆様へ感謝の気持ちを伝えること。

型にはまろうとはまるまいと感謝の想いをしっかり伝えたい。